耐火性
耐火性について
耐火性について ~ 木は意外と火に強い
木は火に弱いとお考えではありませんか?実は、木の家は、耐火性にも優れています。
実は「木は火に強い」
木は火に弱い、とお考えではありませんか? 確かに木材は燃えやすい性質をもっています。しかし、ある程度の太さや厚さがある(つまり断面が大きい)木材は、いったん燃えても表面に炭化層をつくるだけ。火は内部まで進行しないため、強度が低下しにくいという性質をもっています。
700~950℃にまで達するといわれる現実の火災においても、実大火災実験の結果などから、これは事実として確認されています。
常温での強度が同一の木材と鉄骨を使った実験です。木材は構造材として使われる通常のツーバイテン材2枚重ね(76×235mm)。鉄骨はリップみぞ形鋼(150×75×20mm、厚さ3.2mm)。それぞれに500kgの荷重をかけ、約1,000℃まで加熱しています。
ツーバイフォー構造部材は、加熱5分経過してもほとんど変形はありません。同じ加熱時間で鉄骨部材の場合は、変形が始まりました。
構造自体が火に強いツーバイフォー(2×4)工法
一般木造住宅の全焼時間は平均約15分といわれます。
火事が起きて通報して消防自動車が現場につく時間は?宮崎市では平均約8分・・・。
消化活動を始める時間を考えると実際の活動は類焼を防ぐことに重点が置かれるのが現状です。
しかし、私達がつくる木造住宅は45分間の耐火性能をもっています。
強さの秘訣はファイヤーストップ構造
ツーバイフォー工法は、火の通り道となる床や壁において、枠組材などが、ファイヤーストップ材となって空気の流れを遮断し、 上階への火の燃え広がりを防止します。 その高い耐火性は火災保険率に反映されています。
ツーバイフォーの「ファイヤーストップ構造」
ツーバイフォー住宅の場合、火の通り道となる床や壁の枠組材などが、ファイヤーストップ材となって空気の流れを遮断し、上階 へ火が燃え広がるのをくい止めます。また床根太、枠組材などが一定間隔で組まれている床や壁の内部構造は、防火区域がいくつもつくられているのと同じ状態です。この一つひとつの区画によって火の進行はさらに遅くなります。
火災時に防火被覆(せっこうボード)が万一突破されても、このように2重3重の防火機能をもつ「ファイヤーストップ構造」によって、ツーバイフォー住宅は 初期消火の可能性が高く、火災時の被害を最小限に抑えます。
石こうボードでさらに耐火性アップ
ツーバイフォーでは、すべての天井や壁の内側全面に、厚さ12.5mm以上の石こうボードが貼られます。石こうボードの中には約21%の結晶水が含まれていて、炎があたると熱分解を起こして約20分もの間、水蒸気を放出するという優れた特性を発揮します。このため火災が発生しても、天井裏や壁の内部の温度が上昇しにくく、構造材が発火点(約450℃)に達するまでの時間を大きく遅らせることができます。
また床・壁の内部に埋め込まれる断熱材も、火災時の熱が構造材に伝わりにくくし、石こうボードとともに木材の発火を遅らせます。これによりツーバイフォー住宅の耐火性は、さらに高くなっています。
もらい火にも強いツーバイフォー住宅
隣家で火災が発生した場合、外壁の表面温度は800℃以上にも達するといわれますが、ツーバイフォー住宅はもちまえの優れた耐火性で類焼を防ぎます。
▼出火元住宅の解体後、姿を現したツーバイフォー住宅の西側の外壁。隣家との距離はわずか40cmであるにもかかわらず、表面の色がこげる程度の被害ですんでいる。
(静岡県支部提供)
火災と戦う2×4建築協会の実大火災実験の歴史
実大火災実験による耐火性検証の歴史
日本の木造住宅の耐火性に大きく貢献してきた日本ツーバイフォー建築協会 日本ツーバイフォー建築協会では2X4住宅の耐火性向上のために、30年以上前から実大実験を重ね、技術や性能の検証とデーター収集に努めています。 その研究成果に基づき基準改正の要望をまとめ、関係各機関に働きかけを行い、木造で初めて耐火建築の道を開きました。 一般の住宅においては旧住宅金融公庫の仕様書において木造では唯一省令準耐火建築の仕様を規定し一般の地元ビルダーにも活用しやすいよう広く公開しました。 おかげで私たち地元ビルダーもメーカーと同等以上の性能を確保した住宅を安心して 提供し続けることができたのです。
火災実験の歴史
実施年 | 実大実験等 | 法令・基準改正等 | 使用用途拡大 |
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昭和51年 | 2階建住宅 | 不燃構造 | |
昭和53年 | 小屋根裏利用3階建 タウンハウス |
省令簡易耐火構造 | 小屋根裏利用3階建住宅 |
昭和62年 | 3階建住宅 | 3階建専用住宅 | |
平成3年 | 3階建共同住宅 | 簡易耐火建築物 | 3階建共同住宅 (防火・準防火地域以外) |
平成8年 | 市街地の3階建共同住宅 | 準防火地域で3階建共同住宅 | |
平成15年 | 主要構造部 (外壁、間仕切、屋根) |
耐火構造 (大臣認定) |
防火地域3階建 100m2超 住宅 4階建 共同住宅 社会福祉施設、ホテル等 |
平成16年 | 主要構造部 (床、階段) |
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平成20年 | 主要構造部 (間仕切 千鳥界壁) |
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平成22年 | 主要構造部 (外壁) |
内外装に木材を用いて防耐火性能試験
当協会は、NPO法人建築技術支援協会が実施した地域材を内外装材に用いた防耐火試験に全面的に協力しました。この成果に基づいて、国土交通大臣認定が取得できた暁には、よりツーバイフォーらしい木造ならではの多彩なデザインが実現出来ます。
過酷な防耐火性能試験に耐えて
6.5MB 5分7秒
Windows Media Playerでご覧いただけます。
3階建住宅の実物大火災実験(1987年)スライド
一時間たっても外壁も屋根も自立したままの倒壊しない3階建てツーバイフォー住宅
①発火から5分経過
1階リビングの開放した窓から黒煙がたち昇りはじめる②10分経過
高熱のため1階キッチンの窓ガラスが割れ、黒煙が建物全体を覆う。③20分経過
キッチン以外の1階の窓ガラスも割れ、全面から炎が出る。1階キッチン、リビングは鎮火状態へ。④40分経過
可燃物が燃え尽きた1階キッチン、リビングの炎が小さくなる。⑤70分経過
3階南の寝室に設置された木製サッシは燃えているものの、落下せず、ガラスも割れていない。⑥73分経過
消火直前。実験を中止した段階で、3階南の居室と小屋裏は500℃には達せず、火も入らなかった。
一時間耐火構造試験
大臣認定の前提となる性能評価試験は指定性能評価機関において、建築基準法第2条第7号に係る業務方法書に規定する評価基準に適合する必要があります。